国立がん研究センターは２９日、専門医が推奨するがん治療（標準治療）について、全国の主な病院での２０１３年の実施率を調べた結果、７２％に上ったと発表した。

　分析したのは、胃がんや大腸がんなどの標準治療・検査９項目。年齢や体調から標準治療は適さないと判断された例を除くと、このうち６項目で実施率は９０％を超えていた。

　調査では、１３年にがん診療連携拠点病院を中心とする全国２９７病院で治療を受けた約４５万人のデータを分析。調査の公表は今回が２回目となる。

　１２年のデータをもとに調査した前回は、標準治療・検査の実施率は６８％で、全体の傾向はほぼ変わらなかった。分析した項目ごとの実施率を見ると、肝がんの切除前検査は９２％、比較的早期の肺がんの手術・放射線療法は８９％と高い一方、乳がん手術後のリンパ節への放射線照射は３７％、肺がんの術後化学療法は４４％と低かった。実施しなかった理由としては、「他にも病気がある」「高齢」「患者の希望」などがあった。

　同センターは「実施しない理由の検証が必要。病院側の理由による治療の格差をなくすきっかけとなれば」としている。